▼森林づくり活動普及支援事業 - ▼支援実績 - ▼活動団体の支援
豊かな恵みをもたらす森林づくりの推進には行政機関はもとより、県民との連携、協調が欠かせません。地域に根ざしたグループ、団体等の自主的な活動を支援し、森林づくりの多様な担い手の育成、里山や身近なみどりの保全を協働により進めます。
キンランの花
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秦野盆地の北側の菩提地区の山岳ゾーン葛葉川上流に、「不動の滝」と呼ばれている高さ10メートルを少し超える滝があります。この滝壺のとなりに小さな石室(滝の沢不動尊として)が祭られており山岳信仰の祈祷が行われていた痕跡がうかがわれます。江戸時代よりそうしたお祭りを含めた様々な行事が地元の人たちにより継続維持されて今に続いています。
昭和40~50年代に入り、自治会を中心としてこうした地域の自然資産を守り続けていこうという機運が盛り上がり、「菩提滝の沢保存会」が発足しました。現在会員数(通常活動している役員)は、令和4年4月1日現在で65名を数えています。その活動母体は、菩提5地区の自治会役員・生産森林組合の役員・地元の花鳥神社の氏子役員等で構成され、様々な「山を守る活動」を実施しています。
活動の内容については、「不動の滝」までの参道の整備、さらに昭和60年3 月に、環境庁により秦野の湧水が「名水百選」として選定されたのを契機に「葛葉の泉」の水汲み場を設置しました。
「葛葉の泉」の水汲み場の維持管理(周辺の草刈り、清掃、駐車場の草刈り等)を定期的に実施し、水汲み客にきれいで清潔な環境を提供する事に努めています。
さらに、地区にある五所神(菩提山の神社・水の神社・坊集落の山神・山内の山神・滝の沢不動尊)を地元の山林と水を守るシンボルとして、さらには観光資源の開発手段のひとつとして管理の対象としています。 こうした地域の人々の活動の起点としての「山林を守る」意識の向上を図る行動を維持するために、毎年4 月の第三日曜日に「滝の沢春祭り式典」を開催しています。これは菩提地区に暮らす多くの人が、五所神を巡り、山林の現状を肌で実感することを目的として位置付けています。
こうした活動を通して、近年の豪雨災害による沢の崩落・林道の土砂の流出が以前と比べ大規模になってきていることを実感しています。
また、「葛葉の泉」(写真6)については、菩提地区で最も知られた観光施設の一つであると自負しておりますが、名水百選の市内にある水汲み場の一つとして、市民のみならず県内各地さらには都心の人々に至るまで大変多くの人に認知され賑わっている場所でもあります。この「葛葉の泉」の水汲み場がいつも清潔で安全に運用できるように、毎月3回の清掃と駐車場の整備・草刈りを実施し継続管理しています。今後の課題としては、以前にもましてヤマビル対策の強化、「葛葉の泉」の安全性の確保(駐車場の整備・清潔な水洗トイレの維持)を重点に、安全で快適な周遊路の確保に努めて地域の自然遺産を守ってゆくことが大切であると思っています。
滝の沢保存会の活動の活性化の為と地域の森林への意識向上を高めるには、子供たちから若者への周知と活動への参加の必要性を痛感しているところでもあります。
( 滝の沢保存会 会長 浅見一成)
▲菩提地区の山並み
▲参道入口整備
▲不動の滝
▲石室前広場の清掃
▲葛葉の泉・水汲みの光景